本センターの3つの機能に沿って、研修・派遣・支援等の活動について紹介します。
機能① 人材育成プログラムの実践
多様な文化に対応することが可能な人材を育成するための実践型教育(インターカルチュラル教育)を行います。
(1)異文化事態で求められる資質や力、態度の育成講座
教員・教育機関/企業、医療機関/地域コミュニティ等を対象とした異文化間教育研修・セミナーを実施します。
<共通講座>(例)
テーマ | 内容 | 対象者 |
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異文化への気づき | さまざまな事象に対する多角的なものの見方を育成するセミナー。クロスカルチュラル・トレーニング、アトリビューション・トレーニングなどの異文化シミュレーションの体験活動を通して物の見方や考え方、行動様式の相違を再考し、自文化・異文化への相対的な物の見方を養う。 | 県内すべての組織、機関、個人、等 |
地域のグローバル化と住民のマインドの育成 | 人の心の中にある異文化への潜在的な恐怖心や心理的葛藤に対処する力、他者への共感力など、多文化共生に求められる資質や力を養うことの重要性について考える。ワークショップを通して理論を個々の事例に落とし込み、具体的なマインド育成の方法を考える。 | 県内すべての組織、機関、個人、等 |
<教育関係者のための異文化間教育講座>(例)
テーマ | 内容 | 対象者 |
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外国にルーツを持つ子どもの理解と対応 | 外国にルーツを持つ子どもの教育に携わる者には、来日時期、滞在期間、親の教育観、現在の生活環境、学力・日本語・母語力の程度、心理的適応状況など、発達要因、環境要因を見極め、その状況に包括的に対応できる力が教師に求められている。本研修は、教師教育力の向上を目指したプログラムである。 | 教員、教育委員会、学校ボランティア等 |
子どもの第二言語習得と思考の発達 | 外国にルーツを持つ子どもたちにとって、学習に必要な思考言語はほっておけば失われ、あるいは獲得されないまま学習の遅れにつながっていく。本セミナーでは、思考の発達と言語習得の関係について理論的側面から解説し、思考の発達を促す言語学習の在り方を考えていく。 | 教員、教育委員会、学校ボランティア等 |
<企業のための異文化間教育講座>(例)
テーマ | 内容 | 対象者 |
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外国人材活用のための異文化理解 | 外国人従業員とのコミュニケーションで生じる相違、齟齬(習慣、慣習、行動様式、信念、価値観、感じ方、考え方、行動の仕方、人間関係のあり方などの違い)に対してどう対応していったらいいのか、ワークショップ体験を通して考えていく。 | 外国人を雇用する機関、企業等 |
海外展開のためのビジネスモデルを考える | 物理的刺激(気候、風景、匂い、色、時間、など)と社会的刺激が顕在化された文化的産物(新聞・雑誌の広告デザイン、写真、建築物、音楽、等)の相違を認識して、海外展開のビジネスモデルを作成する。千葉大学の海外ネットワークの活用を試みる。 | 外国人を雇用する機関、企業等 |
外国にルーツを持つ子どもの教育に関して、千葉県下の教員を対象とした研修を実施しています。
(2)異文化間教育を主導する人材の育成プログラム
異文化間教育の専門性を高めるための体系的なスペシャリスト養成プログラムです。
1.多文化教育スーパーバイザー養成プログラム
教務主任、指導主事、管理職など現場の教師を指導できる立場の教員向け研修プログラム。文化の違いから生じる齟齬や摩擦、保護者との意思疎通の困難、学習指導の難しさなど、外国にルーツを持つ児童生徒の課題に対し、学校組織をマネジメントしながら、学校または現場の教師に適切な指導・助言ができる人材を育成します。
2.国際教育研修の担当者向け研修プログラム
学校教員への国際教育研修を企画・担当する教育委員会指導主事等に向けた研修プログラム。近年のグローバル化の流れの中で、これまでの国際教育研修のあり方を見直し、新たな研修プログラムの方向性を見極め、コンテンツを作成していく力を育成します。
3.インターカルチュラル・アドバイザー養成プログラム
企業、医療機関、役所、自治会、地域コミュニティなどにおいて、言語や文化の相違から生じる行動様式、人間関係の在り方、価値観の違いなどから生じる齟齬、摩擦などに対して、組織をマネジメンしながら、所属集団の人々のコミュニケーションのありかたに関して適切な指導、助言のできる人材を育成します。
4.多言語通訳ボランティア指導者養成プログラム
学校における教育通訳、役所における通訳、病院の医療通訳ボランティアなど、地域における通訳ボランティアを指導、助言し、多言語通訳ボランティアの育成を主導する人材を育成します。
機能② 千葉県域における教育実践支援
異文化間教育の研修講師や多言語ボランティアを地域社会に派遣し、千葉県域の異文化間教育を支援します。
(1)外国にルーツをもつ児童生徒を受け入れる学校 / 教師を支援
千葉県域には小中学校に入学する外国にルーツを持つ児童生徒の数が増加し、学校現場では多国籍化・多民族化が進むと同時に、様々な教育・生活課題に直面しています。当センターでは、それぞれの子どもに適した指導のあり方について学校に助言し、学校現場での受け入れのサポートを行っています。
主な内容
1.学校編入前/時の初期指導へのサポート
- アセスメント 生活環境、学力・日本語力、母語力等
- 初期指導計画の作成、実施支援
- 保護者支援
2.編入後の学校での指導体制の構築へのサポート
- 指導プログラムの作成
- 日本語指導・教科学習指導への助言
- 児童の生活・学習適応に関する助言
- 保護者へのサポート(母語による支援)
- 学校・担任へのサポート
3.教師のエンパワーメント
- 教師の異文化資質・対応力向上のための教員研修の実施
4.教育スペシャリストの養成
- 多文化教育スーパーバイザーの育成プログラムの実施
- 教育通訳の育成プログラムの実施
5.地域住民への異文化間教育の実施
【特集】南米にルーツをもつ子どもの教育に関するシンポジウム(2024年1月31日開催)
「外国人と日本人の子どもが共に学べる学校の実現に向けて-南米ルーツの子どもたちの事例から-」
南米にルーツをもつ子どもたちに焦点をあて、彼らに対する教師や学校のこれまでの姿勢や取り組みを振り返り、彼らへの理解を深め、その上で子どもたち同士の協働の学びに向けて私たちができることについて考えるシンポジウムを開催しました。開催報告
(2)千葉大学の留学生派遣プログラム
言語や文化的背景の異なる多様な人同士が共存していくための異文化適応能力を育む基礎づくりという目的で、地域社会へ留学生を派遣する国際理解教育の支援活動を行っています。
主な派遣内容:
- 国際理解教育などの研修講師
- 小中高校の異文化理解授業の講師
- 多言語通訳ボランティア
- 地域のお祭りやイベントへの招待
派遣する留学生:
- 主に千葉大学に在籍する留学生で事前指導を受けています。
- 研修内容や教材は千葉大学ICSセンターが確認・承認したものを使用します。
- 通訳ボランティアは一定のトレーニングを受けた留学生を派遣します。
対応可能言語は留学生の在籍状況によります。
活動事例:千葉県立千葉東高等学校における「千葉大学留学生との交流会」
留学生の派遣受け入れを希望する地域の学校・団体の方へ
地域への派遣を希望する千葉大学の外国人留学生のみなさんへ
本プログラムに参加したい方は こちらをご覧ください。
2019年度~2023年度の間に、留学生100名以上を地域の学校に派遣し、2800名以上の児童・生徒と異文化間交流を実施しました。
機能③ 千葉大学の海外ネットワークの活用
千葉大学の留学生の多くは、帰国して母国の大学や教育・研究機関、政府機関、企業などで活躍しています。この海外同窓生との連携によるネットワークを活用し、海外ビジネス、国際教育の推進のためのサポートをします。
(1)千葉の地元企業の海外事業展開への支援
現地コーディネーターや通訳、現地事情の提供、コンサルティング、現地企業との連携などをサポートします。
(2)海外同窓生との連携による国際教育支援
日本人生徒(小中高)の海外学習のサポートや、開発途上国へのグローバル・ボランティアに対する支援を行います。
- 世界50カ国・地域以上に400以上の協定校
- 海外オフィス 8拠点
- 海外校友会(同窓会) 26カ国・地域 31支部