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平成24年度千葉大学国際教育センター主催・公開セミナー実施報告(2)

平成24年度千葉大学国際教育センター主催 

公開セミナー実施報告(2)

 『世界で活躍する千葉大学卒業生に学ぶ世界の研究と教育』

世界保健機構(WHO)医務官・小野崎郁史先生を迎えて

  千葉大学で学び、世界各地で活躍している5人の先輩に、それぞれの専門領域の研究と教育について英語で講義を行ってもらう公開セミナーが10月にスタートした。本稿では、そのシリーズ2人目の講師としてお迎えした小野崎先生(医学博士)が行われた3つのセミナーの概要と、参加した千葉大生の声を報告する。

 "STOP TB Strategy"の推進

  千葉大学医学研究科で学ばれた小野崎先生は、スイスのジュネーブに本拠を置く世界保健機構(WHO)の「ストップ結核対策課」の医務官としてグローバルに活動を展開されている。同セクションで働く、さまざまな国籍の精鋭メンバーは、WHOが2006年にスタートさせた "STOP TB Strategy" を軸に結核撲滅に取り組んでおり、小野崎先生はそのリーダー役。この取り組みの成果は、世界の多くの医療従事者をはじめ、各国の医療政策立案に関わる人々からも注目を集めているところだが、つい最近のWHOのホームページのトップ記事に(http://www.who.int/features/2012/tb_cambodia/en/index.html)、小野崎先生率いるチームがカンボジアで展開した活動成果が報告されている。 

 

Onozaki1.jpg

 

第1回

日時&場所

10/24(水)1819時、西千葉キャンパス(フロンティアメディカル工学研究開発センター会議室)

講義テーマ

TB can't be controlled without new technologies

 

 Onozaki2.jpg 西千葉キャンパスで行われた1回目のセミナーのテーマは、発展途上国における結核撲滅に、いかに新しいテクノロジーが必要とされているかについて。参加したのは、フロンティアメディカル工学を学ぶ大学院生と学部生21人。

 医療設備はもちろん、電気などのインフラが整っていない発展途上国でOnozaki3.jpgは、結核発病者の発見(検査と診断)が困難で、結核に感染・発病する人が後を絶たない。貧困にあえぐ住民、それも僻地の人々は、仕事を何日も休んで町の病院まで検査を受けに行く余裕がないことから、WHOでは職員と医師らが村に出向いて検査を実施する体制を敷いているが、検査から診断までに時間がかかるという問題があった。この問題の解決に大きく貢献したのは、衛星回線を使って画像検査データを遠隔地の病院へ送るテクノロジーの導入である。村での検査にあわせて病院では医師が待機し、すぐその場で画像診断を行い、その結果を現場に送りかえすという体制を整えた結果、その日のうちに診断結果を伝えることができるようになり、さらに必要な検査を行うことも可能となった。また、近年のテクノロジーの発達によって、検体(喀痰)を前処理して結核菌のDNAを抽出し、それを増幅して結核菌の有無を調べる検査が可能となり、従来の培養検査に比べて短時間で結果が出せるようになった。

 WHOでは、革新的で新しい検査法などのさらなる開発と、開発に必要な資金調達を可能とするため、2000年に "Stop TB Partnership"に提唱し、この取り組みに世界の多くの企業や団体が参加して世界の結核制圧に向けた活動が継続されている。セミナーのしめくくりにあたり、小野崎先生は、「後輩にあたる千葉大生、それも、フロンティアメディカル工学を学んでいる皆さんの中から、結核撲滅に一緒に取り組む人が出てきてくれるとうれしい」と話された.

 

第2回

日時&場所

10/25(木)4限、亥鼻キャンパス(医学部・本会1階第3会議室)

講義テーマ

Challenges in TB control and care in Asia and Africa: epidemiological studies vs. operational researches

 

 

Onozaki4.jpg 亥鼻キャンパスで行われた第2回目のセミナーには、小野崎先生の後輩にあたる医学部の学部生70人が参加した。まず、結核の治療と予防に関する世界の歴史について英語で講義を聞いた参加者は、発展途上国におけるWHOの結核撲滅への取り組みの成果と今後の課題について、現在進行形の、しかも医療の現場の最前線での事例をまじえながら、お話を聞く機会を得た。

 これまでに成果をあげた取り組みとしてよく知られているのが、 "DOTS"(直接監視下短期化学療法:directly observed treatment, short-courseの略)という化学療法の導入で、1990年代から2000年代半ばにかけてのWHOの活動の主軸であった。DOTSでは、結核が完全に治癒するまで患者を支援することを目的として、医療従事者の目の前で患者が確実に薬を服用することを確認する方法がとられた。この療法は、抗結核薬の服用を勝手にやめてしまうことにより起きる結核の悪化や再発の防止、結核菌が抗結核薬に対して耐性を獲得してしまうといった問題に対して有効であるが、患者一人ひとりが薬を服用することを見届けるために多くの医療従事者が必要とされるという短所を抱えている。

 WHOでは、2005 年まで推進してきた基本的な DOTS 戦略のいっそうの向上を目指して、現在、前述の新戦略、"STOP TB Strategy" を推進している。この新たな戦略では、多剤耐性結核やエイスズ合併結核対策を推進するために、新薬・診断・ワクチンの開発支援に取り組み、今後、さらに多くの人たちが結核治療の恩恵を受け、 エイズ対策との連携で二重感染者がエイズ治療も受けられることを目的としている。

 

第3回

日時&場所

10/26(金)3限、亥鼻キャンパス(看護学部・講義室1)

講義テーマ

Why international collaboration is necessary to improve TB care and control

 

  Onozaki5.jpg小野崎先生の3回目の公開セミナーに出席したのは、亥鼻キャンパスで看護を専攻する70人。結核に対する知識の不足で、少し症状が改善すると、処方された抗結核薬の服用を途中でやめたり、自分に処方された抗結核薬を家族や親戚に分け与えてしまったりすることで結核が治癒せず亡くなってしまう事例や、抗結核薬に対して耐性を獲得した結核まん延の実態などについて学んだ。

 また、結核患者のケアとコントロールの向上といった結核対策に向けて、なぜ国際協力が必要か、講義と小グループでの話し合いを通して考える機会を持った。わずか20ドルで治癒する病で年間100万人以上が死亡している悲惨な現状についての理解を深めた学生たちからは、「人道支援」としての国際協力の必要性について意見が出たほか、結核が飛行機の中でも空気感染する可能性を考えると、世界的な規模での結核制圧が必要であり、薬剤耐性結核のまん延防止を行うことの重要性についても認識が深まった意見が出された。

 この他にも、さらなる結核の短期化学療法が経済効率の高い保健医療施策として必要であり、医療・テクノロジー・経済の面でも国際協力が欠かせないことや、健康な労働者の確保、さらなる貧困への転落防止などの社会経済施策として人間の安全保障を推進していくためには、世界規模での協力が必要不可欠であることについても話し合った。

 

セミナー参加者の声

WHOが取り組む「結核撲滅」への理解が深まった  

 受講者アンケートを見ると、WHOという国際的組織で、それも、医療の現場で実際に働いている方から話を聞けて勉強になったという声が多く聞かった。「結核は終わった病気ではないと言われているのは知っていたが、世界規模で結核を考えたことがなく、新しい視点で見ることができた」といった声も。また、紹介された発展途上国での活動写真を通して、電気も通っていない場所での医療の実態とWHOの取り組みを知ることができて「勉強になった」と回答した学生も数多く見られた。さらに、発展途上国で結核検査に行かない人が多い理由として、想像以上の貧困がその根底にあることを知ったある受講者は、「『来年の命よりも、今日のご飯が大事』という言葉が印象に残っている。日本という恵まれた環境にいられるのだから、もっと多くのことを考え、学び、行動していかなくてはならないと感じた」と、自分の生活を振り返った。

 この他にも、「日本のように医療システムやライフラインなどが充実していない発展途上国で、工学的に、また医学的に、どのようにしてTBという問題を解決していけるのか学ぶことができてとても有意義でした」という声や、「薬や技術の開発も大事だが、それらを必要としている人たちに、どうやって届けるかもしっかりと考えていく必要がある」ことに気づいたという感想も寄せられた。

「国際的視野」を持って学問をすることの重要性

 さらに、今回のセミナーを通して、自分自身の学問のあり方について省察する機会を得た学生が多く、次のような声が聞かれた。

      結核の撲滅や研究に「国際的な視野」が必要であることを学んだが、これは他の学問分野にといてもいえることではないかと思う

      日本にいると、どうしても日本にいる基準でものごとを考えてしまうことがあるので、こういった機会は視野を大きく広げた考え方を得るチャンスだと思う

      世界を知ることで、自分は何がしたいのか、自分なら何ができるのか探すことができることができると思う。

      「国際的な視野」を持つか持たないかは自分にかかっており、自分の可能性を広げるためにも、積極的な態度を持つことが大切なのだと感じた

もっと、「英語」での講義に慣れていきたい!

  本公開セミナーは、小野崎先生がお招きした講師の2人目になるが、今回も講義はほぼすべて英語で行われた。ふだん、英語で講義を受ける機会が少ないこともあってか、少しコワゴワとした表情で教室に入ってきた学生も見受けられたが、いずれのセミナーの受講者からも、以下のように、「もっと、こういう機会が欲しい」といったポジティブなコメントが返ってきた。

      はじめは英語なんてわからない!と思っていたが、先生はジェスチャーを使ってセミナーを行ってくださったので理解できた。これなら、このような機会を通じて、まず英語に慣れることから始めていけると思った

      英語での講義ということで、少し疲れました。ただ、とても良い刺激になりましたし、国際的な視野は医療者にとって大切だと感じました

      専門に入ってからは外国語を学ぶ機会もなく、大事なのは分かっていましたが、あまり世界(国外)に興味がわかなくなっていました。しかし、今回のセミナーで医学という専門だからこそ、国際的な視野が大事であることを学びました

 

 また、英語での講義に対して、講師が日本人だったので日本語で講義をしてもらったら、内容が全部理解できてよかったという感想も見られたが、以下に引用したコメントからは、チャレンジ精神豊かな千葉大生の意気込みが伝わってきた。

      [これからの医療従事者は]英語が話せる、聞き取れるというのが当然の状況で、[目の前の困難な状況と]戦っていかなければならないので、もっと英語を学ばなければならないと思った

      週1くらい [の頻度] で英語の講義が有志であってもいいと思った

      もっとこういう機会が増え、英語への抵抗がなくなるとよい

      専門の勉強に時間をとられ、「英語力」がにぶっていたことに気づかされた。もう少し英語の授業・テスト・単位の量があってもよいかと思った

      英語での教育をもっと行わないと、日本から外国へ行く学生がますます少なくなってしまうと思います。(中略) 世界言語としての英語を軽んじすぎているため、このようなセミナーに興味を持つ学生じたいが少ないのかもしれませんが、僕は面白かったですので、英語の授業をもっと増やしていただけるといいと思います

 

[] アンケート回答のコンテクストをわかりやすくするため、[  ]内に必要と思われる語句を挿入 

 

 

 

 

 

 


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